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歴史家が、今、発言する意味  ──『世界史の中の安倍政権』上梓にあたって

編集担当

「世界史の研究者が安倍政権をテーマに座談会をやるんだ。来るかい?」と南塚信吾先生と一路舎の渡邊勲氏にお声かけいただいたのは、2014四年10月初めのことだった。安倍政権の独走を許すかどうかを問う総選挙が迫る中での、言いようもない不安が胸に広がり始めた時期であった。 当日は気鋭の先生方により「戦後レジーム」や「積極的平和主義」などの「安倍語録」の歴史的間違いや政策の危うさが次々に指摘され、そこで示された安倍政権の世界史的位置付けに眼の覚める思いだった。 その直後の総選挙で自民党が圧勝したり、集団的自衛権が具体的に議論される中で、座談会をもう一度開催することになった。 2015年7月、安全保障関連法案をめぐる攻防のさなか行われた第二回座談会では、同法案や集団的自衛権、改憲等、より具体的な政策をめぐる議論が行われた。そして、第一回と第二回の座談会をあわせて、このたび『座談会 世界史の中の安倍政権』として上梓の運びとなった。 歴史家が安倍政権を検討する意義はどこにあるのだろうか。本書の「まえがき」をご紹介したい。