米国の巨大水害と住宅復興
ハリケーン・カトリーナ後の政策と実践
内容紹介
日本と大きく異なる米国の復興。自治体からの復興プログラムの提案や市場を介した住宅再生、ボランティアによる支援など、公共事業に依存しない復興の特徴と問題を分析する。
目次
はじめに
1 住宅復興と居住環境再生への視点
2 なぜハリケーン・カトリーナ災害か
3 頻発化・巨大化する災害と水害リスク
4 本書の構成
第1章 ハリケーン・カトリーナ災害のすがた
1 ニューオリンズ市の特性と都市形成の歴史
2 災害の構造
3 災害後の洪水対策の変化
4 広域長期避難とディスプレースメント
5 ニューオリンズ市の復興過程
第2章 広域巨大災害に対する住宅復興政策と復興計画
1 米国の災害復興体制と制度
2 カトリーナ災害における住宅復興支援プログラム
3 ロードホーム・プログラムの成立背景と実績
4 連邦政府による国家住宅戦略と復興枠組み
5 多様な主体による復興計画策定と長期化
6 クラスタリング住宅復興
7 不動産移管・再生プログラムの成立背景と仕組み
8 公営住宅の取り壊しと「惨事便乗型市場主義」
9 補償・人口回復・居住環境再生を目指す復興政策
第3章 不動産移管・再生プログラムによる居住環境再生――その有効性と限界
1 不動産はどのように再生されたか
2 人口特性と地域特性の影響
3 不動産取得主体の特性と動機
4 地域によって異なる転売
5 オークションと隣地買い取りの有効性と限界
6 近隣安定化プログラムの事例と意義
7 空地の維持管理と地域への移管
第4章 定点観測にみる3地域の住宅再建プロセス
1 定点観測:定点を、続けて、歩く
2 地域単位でみる住宅再建プロセス
3 災害前の地域特性
4 災害4年の状態
5 災害4年から5年の住宅と土地利用の経年変化
6 災害4年から10年のプロセス
7 地域ごとに異なる住宅再建の苦悩と復興まちづくり
8 何が住宅再建を決定づけたのか
第5章 ボランティア労働力を活かした住宅復興支援
1 非営利セクターによる住宅復興支援
2 セントバーナード・プロジェクト
3 リビルディング・トゥゲザー・ニューオリンズ
4 ニューオリンズエリア・ハビタット・フォー・ヒューマニティ
5 住宅修繕の方法
6 ボランティア住宅修繕は何を助けたのか
7 ボランティア労働力を活用した住宅復興の意義
第6章 広域巨大災害からの復興まちづくり
1 ブロードモア地域:ニューオリンズの縮図
2 復興を巡る脆弱性と適応力
3 地域住民による実践
4 引援力・活援力を発揮したパートナーシップ
5 広域巨大災害のブレークスルー
終章 カトリーナ災害から日本が学ぶべきこと
1 住宅復興政策の検証結果
2 ニューオリンズに学ぶ居住環境再生手法とリスク軽減
3 広域巨大災害に求められる復興政策・計画
参考文献
あとがき