希望としてのカント
恒久平和のために
内容紹介
人間への深いまなざしを向け、平和をつくる人たちに希望を抱くカント。キリスト教的観念を通してカントの恒久平和論を解き明かす、新たなるアプローチ。
目次
はじめに
第一部◆カント思想における三つのメタ理論
第一章 法の支配に基づく制度設計者としてのカント
1 法の下の秩序による共和制
2 ヨーロッパ統合とその理想
3 国際立憲主義とカント
むすびにかえて
第二章 啓蒙による自律した人間を求めるカント
1 自律性とヘルドの「自律の原則」
2 地球市民の基礎として
3 アーレントの『カント政治哲学講義録』における注視者と行為者
4 ロールズのカント受容
5 義務を果たす者として――グローバル・エシックスの基礎として
むすびにかえて
第三章 キリスト教哲学者としてのカント
1 宗教哲学との兼ね合いで
2 カントの「神の国」――キリスト教の普遍的倫理的共和国
3 カントに内在する理神論的性格
4 芸術家としての自然
むすびにかえて
第二部◆恒久平和論の礎としてのカント哲学
第四章 市民性の基礎としてのカント哲学
1 自然と摂理――カント哲学の根底
2 悟性と判断力
3 純粋理性批判と普遍性
むすびにかえて
第五章 道徳とカント的市民性
1 カント的道徳と人間の義務――理性存在者としての人間
2 カントの啓蒙
3 カントの市民
むすびにかえて
第六章 カントが見た人間
1 エデンの園を発端とする普遍史から見た人間
2 非社交的社交性と戦争
3 善と悪と自由
4 弱く、もろい人間
5 カントの人間学
むすびにかえて
第三部◆恒久平和のためにカントが人間に求めたもの
終章 カントの世界市民とは
1 世俗の子と世界市民
2 啓蒙された市民による活動――世界市民性