信用機構の政治経済学
商人的機構の歴史と論理
内容紹介
中世ヨーロッパの取引に端を発する決済・信用機構の歴史的展開を概観し、その基盤をなす商人的機構を明らかにした上で、システムとしての信用機構の理論的な解明を試みる。
目次
第1部 商人的機構の歴史的展開
第1章 商人的機構の「原型」――中世ヨーロッパの為替契約
1 商人的な組織性
2 出発点としてのジェノヴァ-シャンパーニュ
3 為替契約と商人間分業
4 為替取引と商人=銀行家
第2章 両替商と商人=銀行家――都市内決済・信用機構と国際的決済・信用機構
1 都市内決済・信用機構と預金・振替銀行
2 国際的決済・信用機構と商人=銀行家
第3章 為替手形の変容と決済・信用機構の革新
1 「継承」か「革新」か――集大成としてのアムステルダム
2 為替手形の変容と決済・信用機構
3 引受信用と「国際通貨」
第4章 ロンドンを中心とした決済・信用機構の「近代性」
1 「内国銀行業」
2 ロンドンの金匠銀行と「メトロポリタン・マーケット・システム」
3 ロンドンを中心とした決済・信用機構の「近代性」
4 市場機構論の課題
補章1 商品の「資本性」――空所の純粋性から
1 商品の外在性と外来性
2 マルクスの商品・価値規定-社会的な物質代謝の全面的な媒介
3 冒頭商品世界と交換過程論
4 歴史認識と経済学の方法-商業民族の純粋性
5 合理的な貨幣蓄蔵者-商品流通の発展を前提とした「資本への転化」
6 商品所有者としての関係性が支配的な社会-「借地農業者」と「自作農」
7 「資源」としての非使用価値-商品の「資本性」
第2部 信用機構の理論的展開
第5章 流通過程の不確定性――機構展開の動力
1 はじめに
2 産業資本の循環運動と流通期間
3 流通過程の変動
4 流通期間の設定
5 産業資本の販売活動と流通費用
6 市場機構論への新たな視角
第6章 商業資本の二類型
1 はじめに
2 「商人資本」と「商業資本」
3 産業資本の要請と商業資本の二類型
4 商業資本の成立と限界-「押し戻し」と「卸売価格」
第7章 商業信用の二類型――一時的な信用取引と恒常的な信用取引
1 商業信用の舞台装置
2 商業信用の二類型
第8章 市場機構としての銀行信用
1 市場機構の社会性と不安定性-資本家的な組織化の部分性・可逆性
2 商業信用の社会的基盤と限界
3 信用代位機関としての銀行資本の成立
第9章 銀行間組織の二類型と中央銀行
1 銀行間組織論の課題
2 銀行間の組織化の基礎形態
3 銀行間組織の二類型と中央銀行論の可能性
補章2 システムとしての銀行と信用創造
1 山口重克の銀行信用論と流動性リスク
2 銀行の信用創造の根拠-システムとしての銀行
3 「信用創造論」再考