先住民族社会の形成と存続

先住民族社会の形成と存続

ニュージーランド南島ナイ・タフ族の伝統と社会

内容紹介

先住民族マオリとヨーロッパ人入植者間の経済的・社会的格差が顕在化するニュージーランド。その二文化主義の特徴と背景を、国家形成の社会的・政治的経緯を通じて考察。

目次

序章 ニュージーランドにおける二文化主義の背景
第1節 マオリ社会とパケハの植民
1.接触とマオリ社会
2.「マオリ民族」の登場と汎部族主義
第2節 ワイタンギ条約の意味と役割
1.条約の締結
2.英語条文とマオリ語条文
3.イギリス国王の土地先買権
第3節 ニュージーランド国家とマオリ民族
1.ワイタンギ審判所――復権と補償
2.二民族一国家のゆらぎ

第1篇 先住民族と植民地化
第1章 ニュージーランドにおける先住民族の土地権と植民地の形成
第1節 伝統的マオリ社会と土地
1.アイデンティティの基礎としての土地
2.土地・資源保有の重層性
3.接触以前の土地と社会
第2節 部族的土地保有
1.部族的土地保有と個人的利用
2.首長の地位と譲渡権
第3節 接触と土地売買
1.1840年以前の土地取引
2.パケハからみた部族的土地保有
第4節 部族的土地保有と土地の私有化
1.土地戦争
2.先住民土地法
3.先住民土地裁判所
第5節 植民地化・土地収奪に対するマオリの抵抗

第2章 ニュージーランド南島の植民地化とナイ・タフ族の土地喪失
第1節 ナイ・タフ族とヨーロッパ人の接触
1.ナイ・タフ族の伝統的食料資源とヨーロッパの農業
2.条約調印と南島先住民族
第2節 Crownの土地買収によるナイ・タフ族の土地喪失
1.Crownによる南島の土地買収の背景
2.オタゴ地域の買収
3.ケンプの買収(カンタベリー地域の買収)
4.バンクス半島の買収
5.アラフラ地域の買収
6.その他の土地買収
第3節 土地買収の影響

第2篇 復権要求と権利の回復
第3章 ナイ・タフ族の復権要求と回復された権利
第1節 初期の復権要求と交渉の経緯
1.初期の復権要求
2.Ngai Tahu Maori Trust Boardの補償交渉
第2節 ワイタンギ審判所の設立とその役割
1.ワイタンギ審判所とその役割
2.ナイ・タフ族とワイタンギ審判所
第3節 ナイ・タフ族の社会と組織
1.ナイ・タフ族の伝統的社会
2.現代のナイ・タフ族の社会と組織
3.テ・ルナガ・オ・ナイ・タフの組織と役割
第4節 テ・ルナンガ・オ・ナイ・タフとCrownの包括補償交渉
1.交渉の第一段階
2.再開後の包括的補償交渉
第5節 Crownの補償提案
1.Crownによる謝罪
2.アオラキの返還
3.経済的補償
4.文化的補償
第6節 包括補償がナイ・タフ族にもたらしたもの

第4章 南島におけるマオリ地名の復原問題
第1節 ニュージーランドの地名
1.ヨーロッパ人の植民とパケハ地名
2.マオリ地名がもつ意味
第2節 ニュージーランド地理委員会と地名の復原
1.ニュージーランド地理委員会の役割
2.ニュージーランド地理委員会による地名復原の提案
第3節 ナイ・タフ族と地名復原
1.オタゴ地域における地名復原をめぐる論争
2.ナイ・タフ族の地名復原要求

第5章 ナイ・タフ族と先住民族観光
第1節 ニュージーランドにおける先住民族観光の諸問題
第2節 マオリ観光の現在
1.マオリ観光の定義
2.多様なマオリ観光
3.マオリにとってのマオリ観光
4.経済的機会としての先住民族観光
5.マオリが先住民族観光に期待するもの
第3節 「伝統的文化」の商品化
1.問われる「真正性」
2.伝統的文化の保全と先住民族観光
第4節 ナイ・タフ族と観光産業
1.南島の自然環境
2.ナイ・タフ・ツーリズムの役割
3.ナイ・タフ族の文化と観光

第3篇 先住民族と自然環境
第6章 ナイ・タフ族の伝統的資源利用と植民地化によるその影響
第1節 ナイ・タフ族の伝統的な資源利用
1.マオリの移住とニュージーランドの自然環境
2.南島の自然環境と狩猟採集資源
第2節 マオリの持続的資源管理と社会
1.マヒンガ・カイの解釈とその範囲
2.カイチャキタンガの意味
3.資源利用の社会秩序
4.食料資源の継続的占有
第3節 パケハの植民・開拓とそのマオリ社会への影響
1.パケハの入植と環境変化
2.ワイタンギ条約と土地・資源の権利

第7章 ナイ・タフ族によるテ・ワイホラの利用と管理
第1節 ナイ・タフ族の伝統的生活と資源利用
1.南島の自然環境と食料資源
2.マヒンガ・カイとナイ・タフ族の社会
3.沿岸海域と内水面のマヒンガ・カイ
4.タプとラウヒがマヒンガ・カイにもたらす制限
第2節 ヨーロッパ人の入植・開拓にともなう環境改変とマヒンガ・カイへの影響
1.南島におけるヨーロッパ人の入植・開拓
2.環境改変とマヒンガ・カイ
第3節 ワイタンギ条約とマヒンガ・カイ
1.ワイタンギ条約が保障したタオンガとは
2.ワイタンギ審判所とマヒンガ・カイ
第4節 テ・ワイホラの自然環境とナイ・タフ族
1.テ・ワイホラの自然環境
2.テ・ワイホラの資源とマヒンガ・カイ
3.ヨーロッパ人の入植と湖の環境変化
第5節 テ・ワイホラの返還と共同管理
1.テ・ワイホラをめぐる利害関係
2.ワイタンギ審判所の裁定と湖の返還
3.ナイ・タフ族とCrownの共同管理

第8章 ナイ・タフ族による持続的資源利用と環境政策
第1節 環境運動とResource Management Law Reform
1.環境運動の台頭
2.Resource Management Law Reform
3.Resource Management Act 1991
第2節 環境管理をめぐる対立と協調
1.マオリの立場とパケハの立場
2.ワイタンギ条約の原則と環境保護
第3節 ワイタンギ審判所と環境問題
1.ワイタンギ審判所とwai 262
2.ナイ・タフ族とwai 27
第4節 ナイ・タフ族と環境・資源管理
1.ナイ・タフ族の環境政策
2.ナイ・タフ族と淡水資源
3.カンタベリー地域におけるナイ・タフ族の環境計画 
4.カイコウラ地域の環境計画
5.タイアプリによる水産資源の管理