シンガポールの工業化政策

シンガポールの工業化政策

その形成過程と海外直接投資の導入

内容紹介

シンガポールの1人当たりGDPは日本を上回りアジアの最高水準にある。伝統的な中継貿易から半世紀で国際競争力のある産業、金融、サービス部門をいかに構築したか。

目次

はじめに 
序章 シンガポールの経済発展と工業化政策
(1) 第2次大戦後のシンガポールの歩み
(2) 本書の課題と分析視角
(3) シンガポールの工業化政策に関する先行研究
(4) 工業化における政府の役割:市場と国家
第1章 人民行動党政府による工業化政策の模索
第1節 人民行動党政権発足以前の工業化政策
(1) コロンボ計画に基づく6カ年開発計画
(2) 55年世界銀行報告と58年ライル報告
(3) 人民行動党の結成と59年立法議会選挙
(4) 2つの工業化提案と人民行動党の政策綱領
第2節 人民行動党政権の発足とその政策課題
基本的な政策理念/マラヤ連邦との政治的および経済的統合/工業化における政府と民間企業の役割/中継貿易経済の役割/工業化戦略:輸入代替と輸出指向/工業化における海外資本の役割
第3節 マラヤ連邦との政治的統合とマラヤ共同市場構想
(1) マラヤ連邦との統合への動き
(2) マラヤ連邦とシンガポールの経済的争点
共同市場構想/統一関税/創始産業(産業政策)
まとめ
第2章 国連調査団による工業化計画提案
第1節 国連調査団による工業化調査
第2節 ウィンセミウス報告の概要
第3節 工業化政策におけるウィンセミウス報告の意義
(1) ウィンセミウス報告の特色
(2) ウィンセミウス報告の工業化戦略:輸入代替と輸出指向
(3) ウィンセミウス報告と人民行動党政府
まとめ
第3章 人民行動党政府による工業化政策の推進
第1節 国家開発計画の策定と経済開発庁の発足
(1) 国家開発計画(61年開発計画)の策定
(2) 経済開発庁の発足
(3) 工業用地の開発計画
第2節 マレーシアへの参加と経済的対立
(1) 63年世界銀行報告とその歴史的意義
(2) マレーシアにおける経済的対立の深刻化
共同市場構想/統一関税/創始産業(産業政策)
第3節 分離・独立と共同市場構想の崩壊
(1) マレーシアとしての工業化政策
(2) 政治的・経済的対立の激化から分離・独立へ
まとめ
第4章 海外直接投資の導入による工業化政策の成果
第1節 分離・独立したシンガポールの選択
(1) シンガポール共和国への厳しい評価
(2) 製造業の拡大と輸出の伸張
(3) 第2次開発計画の策定
第2節 多国籍企業の誘致と国際分業体制への参加
(1) シンガポール共和国の国家戦略
(2) 経済開発庁による多国籍企業の誘致とその成果
(3) 1960年代の工業化進展の成果
第3節 ウィンセミウス報告と政府の工業化政策
まとめ
第5章 1960年代シンガポールにおける工業化政策
第1節 1960年代政府による工業化推進の背景
(1) 実務派による政権内部での主導権の掌握
(2) 既存官僚制度の温存と活用
(3) 健全な財政収支に基づく幅の広い政策選択
(4) 経済界による人民行動党への静かな支持
(5) 政府による労働組合の組織化と労働紛争の沈静化
第2節 1960年代における工業化政策の成功要因
(1) 人民行動党政権首脳の現実的な政策運営
(2) ウィンセミウス報告による自立への道の提案
(3) 開発専門機関としての経済開発庁の機能
(4) 国際経済環境と海外直接投資
第3節 工業化におけるウィンセミウス報告の役割
まとめ
第6章 発展途上国におけるシンガポールの工業化政策
第1節 発展途上国の開発政策とウィンセミウス報告
(1) 1950-60年代発展途上国の開発政策
(2) 開発政策におけるウィンセミウス報告の位置付け
第2節 シンガポールの工業化政策の特殊性と普遍性
(1) 工業化政策の特殊性
(2) 工業化政策の普遍性
第3節 シンガポールの工業化政策のリスクと限界
(1) 政府の工業化政策に伴うリスク
(2) 政府の工業化政策の限界
まとめ
終章 シンガポールの工業化の光と影  (1) 1960 年代における工業化政策の形成過程
(2) シンガポールの現在と未来:3つの問題点

参考文献
あとがき
索引